2010年7月23日金曜日

谷尻誠講演会 感想

ライブ、良かったです。
谷尻さんは、直談判の名手らしく、迫力も満点でした。
聞き逃した人は、明日も福岡デザイン専門学校で講演をされるようなので、ぜひ。

私が1つ質問したかったのは、谷尻さんは、遊具や自然からデザインのインスピレーションを受けているようだけれども、他の建築家の作品などから学ぶようなことはしているのかということ。予想は5分5分。

独学で建築を学んだ安藤忠雄氏は、ル・コルビュジエの作品集をひたすらトレースして、ヨーロッパへの旅行をし、多くの歴史的建造物から貪欲に学ぼうとした。
一方、谷尻さんは、大学を出ていないことにコンプレックスなど感じていないし、むしろそれを強みだと考えている。だから、歴史には目を向けていない可能性も高い。
確かに、歴史に学ぼうとすると、偉大な作品を目にして、圧倒されてしまうこともある。うちひしがれるくらいなら、それを見ないで、自分の感性に耳を澄ます方がよい。歴史上、偉大な建築家も、必ずしも歴史に目を向けていなかった。
しかし、現在、建築が抱えている問題、より良くすべき点というのは、過去のものを見ることで分かるわけで、そういう、過去の分析を確実にしておられるからこそ(=これまでの建築にしっかり目を向けているからこそ)、谷尻さんは新たな、これからの建築に求められるものを、発見できているようにも思われた。つまり、何か模倣すべきものを探すのではなく、むしろ、何らかの教訓を得るために歴史に目を向けている可能性もある。
どちらなのだろう。

いずれにせよ、谷尻さんは、あらゆるものをよく見、よく考える人、であるようだ。
谷尻さんは、中庭が欲しい、広いリビングが欲しいと言われても、その通り作ることはない、という。何の意味がそれにあるのか、何故、それを欲しがっているのかを問うのだそうだ。作品を見ていると、彼は、自分がしたくて新しいことをお施主さんにそれを押し付けているのではないようだ。お施主さんの要望をかなえるために、新しいものを生み出すことを、進んでやってくれる。すばらしい。人と接することが好きだという谷尻さんは、人の心を読み取る達人でもあるようだ。(頴原)

追記:
懇親会で諫見研の池谷君が私の代わりに質問をして来てくれました。答え:無い。やはり。51%くらい無いと思っていたので、納得しました。谷尻さんが歴史を見たら、今までにない新しい歴史を語ってくれそうなのだけど。

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