2010年5月17日月曜日

第5回 自主研究会(報告 担当:近藤)


~モダンという戸惑い~
ヴァルター・グロピウス (1883~1969)

アウエルバッハ邸(1924竣工.)
・ 白い積み木を重ね合わせたような形。
・ 壁が鮮やかな色で塗り分けられている。
・ 南東にはガラスの温室。
・ それぞれの部屋には個別の機能が与えられている。
・ 訪れる人数に応じて、いかようにも広さを変えられる。
・ 壁の塗料は、絵画の絵具と同じ原料。

『絵の中に住んでみませんか?』 (この家自体が絵。)

『壁には一枚も絵を掛けてはなりません。』

『美しい曲線と色彩自体を楽しんで。』

素材のもつ美しさを高度な技術力によって引き出し、機能的かつ経済的なものをつくりだす。目の前の現実世界を、単純な直線の組み合わせや色の配色だけで表現できる。

『建築とは、人の暮らしの中に実際に形を与えること。』

『戦争が終わって、ヨーロッパには新しい時代がやってくる。それにふさわしい家をつくらなければなりません。』

『新しい時代に生きる人間であれば、この家に住むのはそう難しくない。』

『私達、バウハウスは芸術や建築の学校以上の存在です。新しい生き方の創造を試みている。』

芸術と生活の融合を果たそうとした。社会の価値観をデザインで根本的にかえようとした。


21世紀、現在…
大きな窓は明るさが充分で、そこで自然とも触れ合える。壁の色のコンビネーションもさりげなく、充分モダンで、何の違和感もなく馴染める。
この家は近代建築の原形であり、出発点。だから、モダンな家具がマッチする。人の感覚は80年という年月をかけて、やっとこの家に追いついた。近代の夜明けを世界に告げた名住宅。


ドイツの伝統的な家は、三角の屋根にこまごまと装飾された壁。部屋の中には飾り棚、飾り時計、絵。左右対称など、ファサード中心の建築が一般的だった中、ヴォリュームの積み重ねによってつくられたアウエルバッハ邸。必要な機能の部屋を組み合わせることで、様々な生活スタイルに合わせて行く。

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