2011年9月8日木曜日

見学レポート

芝津の郷  08TA116 山本浩平





建物を選んだ理由
卒業研究で在宅介護と老人ホームの中間となるものを設計したいと考えているのですが、以前シニアタウンである「美奈宜の杜」の見学をした際に一度療養型の老人ホームも見た方がよいと思ったため普通の老人ホームやケアホームではなく住宅型の老人ホームである「芝津の郷」を見学しに行こうと思いました。



施設概要と注目点
芝津の郷は下曽根にある天然温泉付住宅型老人ホームで個室60戸となっています。
現在は55戸が利用されており家族の行き来も人にもよりますが割と来られているそうです。
また施設にはデイサービス、ヘルパーステーション、ケアプランセンターが併設してあります。
この施設は私が設計対象にしている健常者~軽度障害者ではなく中度障害者~重度障害者を対象にした療養型の施設です。
自然・地域・人とのかかわり方に注目したいと思います。




立地場所はとても自然に囲まれた所でした。
前に見学した「美奈宜の杜」もそうでしたが、やはり通常のグループホームや老人ホームと違ってシニアタウンや療養型の施設は街中に立地するのではなく街から少し離れた自然の多い場所に立地している事が多いと感じました。




通路幅は車いす同士がすれ違う事が出来るよう広めの幅員になっていました。
また各部屋には風呂がなく各階に大浴場が設置されていて入居者の方は職員の方同伴で毎日利用しているそうです。そのため、緊急時の対応や処置をすぐ行えるよう緊急時コールボタンがいたる所に設置してありました。(浴室、浴室内トイレ、脱衣所等)
また、大浴場にする事で個々で入浴するよりも入居者同士の関わりが深くなるそうです。
ガラス越しに見える和の庭園が浴室に美しく入り込んで来ていたのが印象的でした。




施設内の扉は基本的に引き戸となっており、上吊り戸になっていました。
上吊り戸にする事で小さな段差さえも軽減する事が出来、すり足での歩行も可能となっていました。
たとえ小さな段差だとしても転倒やつまずきの危険を及ぼす原因になるので徹底してありました。大広間や食堂では壁で仕切るのではなく床のカーペットの色や模様を変える事で空間の仕切りを演出してありました。





入居者の部屋ではその人によって障害レベルが違うため利き手側や片麻痺がある人に対しては健側に手すりが来るように部屋の配置がしてありました。
それと同時に緊急時コールボタンを押し易い向き・位置に設置してありました。
ベッドの横には家族の面会に対して布団一枚程度敷くスペースはありましたが、少し狭く感じました。療養型では十分なスペースだと思いますが、私の研究テーマの健常者~軽度障害者の方にはよりプライベートとパブリックなスペースの確保・そして個々の自立を尊重した都市計画が必要になると思いました。


感想
今回は療養型という中度~重度障害の方の施設を見学させて頂いたのですが、普段なかなか行く場所ではないので深く感じる部分がありました。また空間として工夫してある所が多くとても勉強になりました。各部屋はプライベート空間となっていましたが、食事や入浴は人との関わりを大切にした空間となっていたため空間の仕切りを壁でなく床の色にしてあった所にはバリアフリーの実現と対話しやすい空間としての2つの意味がなされていて素晴らしいと思いました。
実際に見学している最中も入居者同士、職員との対話、そして私のような来客者とも関わる事の出来る空間であったのは間違いありません。
どうしても壁や柱で間仕切ってしまいがちですが、今回のような仕切り方も1つの方法だと思いました。私の研究テーマは健常者~軽度障害者を対象にしているため自立という面ではより大きな課題となってくると思いますが、今回の見学で学んだ事を含め今度の卒業研究を進めていきたいと思います。
そして家族や親族の行き来がより頻繁に行われる空間に出来るよう研究していきたいです。

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